司馬史観を駆使して語る歴史紀行
「記述にあたっては、その風土的特質が日本歴史の根幹に交叉したという、その交叉部分がなんであったかを考えることに力点をおいた。ややジャーナリティックにいえば、日本歴史の地方地方における楽屋うちというものを見たかったのである(あとがきより)――。高知・会津若松・鹿児島・大阪・佐賀など12の土地を歴訪し、その風土と人物との関わり合いをつぶさに見なおす。(初出「文藝春秋」昭和四十三年一月号~同年十二月号、本書は昭和五十一年に刊行された文庫の新装版)
目次
竜馬と酒と黒潮と〔高知〕
会津人の維新の傷あと〔会津若松〕
近江商人を作った血の秘密〔滋賀〕
体制の中の反骨精神〔佐賀〕
加賀百万石の長いねむり〔金沢〕
”好いても惚れぬ”権力の貸座敷〔京都〕
独立王国薩摩の外交感覚〔鹿児島〕
桃太郎の末裔たちの国〔岡山〕
郷土閥を作らぬ南部気質〔盛岡〕
忘れられた徳川家のふるさと〔三河〕
維新の起爆力・長州の遺恨〔萩〕
政権を亡ぼす宿命の都〔大阪〕
あとがき