様々な男女の愛の姿を描いた、巨匠・手塚治虫の異色ファンタジー。
▼第1話/箱の女▼第2話/フラレルノ大統領の宝▼第3話/蛾▼第4話/メッセンジャー▼第5話/ブロッケンの妖怪▼第6話/身代金▼第7話/フーテン芳子の物語▼第8話/マネキン▼第9話/栄光の掟▼第10話/封蝋▼第11話/南から来た男▼第12話/ラスプーチン▼第13話/眼▼第14話/ハイエナたち ●主な登場人物/伊万里大作(ロマンチックな作品をたくさん生み出した名映画監督。しかし最近は現実的でリアルな作品が好まれるため仕事がない)、I・L(アイエル)(だれにでも変身することができる謎の女優) ●あらすじ/伊万里大作は、ロマンチックで郷愁を誘う作風で「映画界に伊万里あり」とうたわれた名映画監督。しかし、人類が月に足を踏み入れた今、大衆は理屈をこねた現実的な作品を好むようになり、大介の作るような夢物語は相手にされなくなっていた。したがって、今や大介は家も追い立てられるような状態なのだ。そんな大介に、道ばたに座る易者が「北に10・行った所によい物件がある」と教えてくれる。半信半疑で大介が北へ向かうと、そこには立派な屋敷が。中に入ってみると、奇妙な連中が大勢おり、「現実の世界の演出をして欲しい」と大介は頼まれる!?(第1話)▼とある国の刑務所の中。ここではクーデターによって政権を追われたフラレルノ元大統領が死刑執行の時を待っている。フラレルノには10人の妻がいたが、すでに9人は死亡もしくは病気になり、ただひとり10番目の妻・アヤコだけが、大統領を裏切って祖国の日本に亡命していた。そのことを知った大介は、「大統領との関係を世紀の恋として美しく演出する。そのほうがアナタのためにもなるのでは?」とアヤコに持ちかけるが断られる。しかし…(第2話)。 ●その他のデータ/「ビッグコミック」1969年8月10日号~70年3月25日号連載 あとがき=大林宣彦(映画監督)