京都での学生生活も四年目を迎えた七夕の夜、わたしは数学科のキテレツな彼と出会った。どうしてこのひとなんだろうと思う。客観的に見て、異性にもてはやされるタイプとはいえそうにない。目を引くような美男ではないし、話がものすごく面白いわけでも、ことさらに気がきくわけでもないのに-。わたしは恋に落ちている。まっさかさまに、落ちている。