講談社ノンフィクション賞受賞作品!
安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。
79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った「過程」を辿りつつ、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。第40回講談社ノンフィクション賞を受賞した渾身ルポルタージュ。
【編集担当からのおすすめ情報】
「死は怖くないの。この痛みとともにじわじわと死んでいくのが恐怖なの」
これは、16時間後に死が迫ったスウェーデン人女性(68)が、筆者に答えた言葉です。
脚本家・橋田壽賀子さんの発言が呼び水となって、日本でも「安楽死容認論」が高まりつつあります。65歳以上の高齢者が3500万人に迫る日本では、今後、ますます多様な「逝き方」が模索されるでしょう。しかし、先に安楽死を導入した欧米各国で、どのような事態が起こっているか、ご存知でしょうか。
その選択に至るまでに、何を憂い、どのように葛藤し、そして決断したのか。実際に、安楽死希望者やその家族、医師らの証言を集めた本書は、日本の終末医療を考える上で、大いなる示唆を与えてくれるはずです。