久々に集まった学生時代の仲間が、昔にかえってオーケストラをやろうということになった。こんな出だしで始まる本書の展開は、いつの間にか管理職としての苦労話や、愚痴の聞き合いになってしまう。その愚痴の原因は「不況対策」である。管理職でありながら肩をたたかれたり、社員の解雇を企んだり、立場上の苦悩は並大抵ではない。製鉄、家電、コンピューター関係、大新聞社などの有力社員たちですら深刻だ。ある会社が選んだという「解雇予定者の基準」には、小説とはいえ、「ドキッ」とさせられるものがある。こんな時代だからこそ自分を見つめ直すサラリーマン必読の書。海江田万里氏の解説も秀逸。