母娘を描いた感動の家族小説。待望の文庫化
多くの読者を感動に包んだ小説『泣きながら、呼んだ人』。待望の文庫化です。
作者は、「人間描写の達人」と評される加藤元。
物語は、4名の女性を主人公に、ロンド形式で進んでいきます。
母とわかり合えない気持ちのまま先立たれてしまったハルカ。幼い頃から自分と母を仲良し母娘と信じてきた妊婦の菜摘。小さな頃からすべての基準が母親にあり、疎ましく思いつつもどこかで手を離されるのを怖れている千晶。女としての母の側面を大人になっても受け入れられず、母を赦すことができない芙由子。
彼女たちを軸に、その兄妹、夫、父親、義母、義父、友人、子供たちの様々な目線、エピソードが加わります。きっと誰かに、またはどこかしらに共感せずにいられない、心にじんわりとしみわたる家族小説となっています。特に女性には必読の書。
家族と上手につきあえている人もどうもうまくつきあえない人も、すべての読者たちの心に響く、ハートウォーミングな傑作です。ところどころ、くすりと笑わせる筆致も見事。そして読後には、温かな涙が心を潤すこと必至です。
【編集担当からのおすすめ情報】
「親への恨みつらみなんて、永遠に届かない片思いみたいなもの」
---本書を読んでいると、心に刺さる言葉にたくさん出くわします。
ただじんわりと泣きたい人、心が傷ついて癒されたくなったとき、心身ともに疲れがたまっているとき……。心の鉛がすっととけるような、優しく泣ける物語です。