山岳写真家であると同時に科学者、詩人でもあった田淵行男(一九〇五〜八九)。北アルプスと安曇野をベースに、山を愛し、粘り強い観察によって、そこに生きる昆虫や花々の生命を慈しんだ作品には今なおファンが多い。長く絶版だった代表的写真集『山の季節』を約三〇年ぶりに写文集として編み直し、最新の印刷技術で復刻する。真のナチュラリスト田淵に師事した写真家・水越武氏の語り下ろし回想録を収載。