若冲、応挙、蕭白……、京都で競う奇想の美
18世紀の京都、伊藤若冲、円山応挙、曾我蕭白、長沢芦雪……、それまでのの画壇の因習を打破する新しい表現を目指す画家たちが一気に華ひらきます。個性的な「奇」の表現を競いあいながら広く世に問うた彼らの画業は、言わば「日本のルネサンス」の様相を呈し、その後の画壇の新しい潮流を形成します。それは、図らずもここ10年来、彼ら「奇想の画家」が中心をなしてきた現代日本の美術展覧会の動きにも通じます。ここのところ、つとに言われる「日本美術ブーム」を形成してきた画家たちが、次から次へと登場するのが本巻です。なんといっても、この巻の目玉は、2000年京都で開かれた「没後200年 若冲展」以来、日本美術ブームを牽引する画家、伊藤若冲の手になる畢生の大作『動植綵絵』全30幅の全点掲載を始めとした若冲の紹介です。これまでは数点しか掲載されてこなかった彼の画業を、今回は43点の作品を掲載と、これまでにない規模で、大きく取り上げます。さらに、若冲にとどまらず、蕭白、応挙、芦雪といった、互いに奇想を競った、京のみやこの絵師たちの画業を、ここのところの展覧会の成果を最大限に活用しながら、ふんだんに紹介します。
【編集担当からのおすすめ情報】
ここのところの日本美術ブームを牽引してきた「伊藤若冲」が、美術全集でも初めて中心的存在として扱われる一巻。この巻の登場で、若冲の画業はブームで終わらず、日本美術史のなかで不動の地位を得ることになるだろう。