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  • 出版社小学館
  • ISBN9784096580059
  • 発行1997年10月

新編日本古典文学全集 5

古代の解文(公開文)にして地誌、文学でもある古風土記の世界のすべて。
「風土記」は八世紀に作られた地方誌。朝廷に提出を命ぜられて、各国が物産品目、山川原野の名の由来、土地の伝承などをまとめたものです。現存するのは播磨、出雲、肥前、豊後、常陸の五か国のもので、他国の風土記は後世の写本の文章の中に引用文として部分的に残されて、その存在が推測されるだけです。 官吏が漢文で書いたいわば公用文なのですが、地誌としての歴史的文献にすぎないのではなく、文学的な味わいが楽しめる内容です。それは神話や伝説を含むことや、和語和文を生かした文章があるためではありません。校注者の植垣節也氏によれば、当時の文学というのは、現代と違っていて、漢籍の知識をふんだんに生かして、典拠のある佳句佳文をもっとも効果的に使いきることでした。その意味で、六朝風の漢文で潤色されている「風土記」の文章は、公文書であり、地誌であるばかりでなく、古代の人々の文学書なのです。 「風土記」研究の第一人者によって従来の他書とは一線を画する校注が施され、清新な訳文も付けられた本書は、待望の“古典文学”の出現といえます。

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