この国には生まれてこのかた笑ったことのない怖い王様がいました。王様が笑わないものですから、誰も王様の前では笑うことができませんでした。そのうえに、王様は悲しいことに生まれてこのかた、涙を流すなどということも一度もなかったのです。バイオリンを弾くピエロのうわさはどこまでも広がって、いつの間にかこの国の王様の耳にも入りました。