鉛色の空の下、北風に乗って海鳴りが聞こえる、山陰の冬-ひなびた温泉街に1人の刑事が現われた。かつてこの街で芸者をしていた女、市駒を追う彼は、夢千代という名の美しい芸者と出会う…。限られた人生を静かに生きる薄幸の女、夢千代。裏日本の小さな温泉街に身を寄せて生きる人々のドラマを情感豊かに描き出す、シナリオ文学の名作。「続・夢千代日記」も併せて収録する。