私が幼い頃、母(輝子)はなぜか家を出ていた。強烈な個性を発散する父(斎藤茂吉)との生活のなかで、母と過ごした海辺の夏は黄金の刻だった。やがて、戦争、疎開、戦後の混乱と茂吉の死…。生涯、自分流の生き方を貫き、後年は世界を飛び歩いて"痛快ばあちゃま"と呼ばれた母と家族を、回想と追憶のなかに抒情的かつユーモラスに描く自伝的小説。
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