始原としての神話は引用によって語られるしかないのはなぜか。『おくの細道』はさまざまな句歌や歌枕というトポスを随所に嵌入した引用体である。アンデルセン作と知ってはいても『即興詩人』は鴎外のものととらえられているのではないか-他者、アンソロジー、言葉などさまざまな角度から思索をめぐらす、著者の引用論の集大成。