源平角逐の時代に青春を過ごした定家は、後半生でもまた、未曽有の乱世に身をおく。和歌を通じて交流をもつた源実朝の暗殺、歌壇のパトロンであり同時に最大のライヴァルでもあった後鳥羽院の、承久の乱による隠岐配流。宮廷文化の最後に大輪の花を開き、その終焉をも見とどけた定家とその時代を、厖大な日記「明月記」にたどる。