武士の刀は殿のためにあるのではない。命にかえても守りたい者のためにあるのです。富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。しかしその陰には遠島を引き受けてまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。時が過ぎ、藩に戻った六郎兵衛は静かな余生を望むが、愚昧な藩主の企てにより二人は敵同士に仕立てられていく――剣が結ぶ男と男の絆を端然と描く傑作時代長編。