黒板塀で囲った「鶴の家」は小路の角にあった。二代目の小鶴は、初代関の養女。画家朝蔭信と湯島に棲家をもっているが、娘の千賀子の父は朝蔭ではない。朝蔭の態度に一喜一憂してとり乱す母の姿に、自分を重ねまいとしながら、いつしか同じ道を歩む千賀子。東京・下谷の置屋の三代の女たちを描く長篇小説。