「夏は来ぬ」を愛唱し、「戦友別杯の歌」を口ずさみ、「昭和」を想う。日本語の乱れを嘆き、深夜に広辞苑を開いて向田邦子さんを懐かしむ。森光子さんの文化勲章を祝い、金木犀の香りを愛し、甘い物を好んだ。そして、長い芸の道を共に歩んできた-。急逝した久世光彦が、森繁久彌との歳月を綴り、四年間連載された「週刊新潮」聞き語りエッセイ最後の一冊。