本書に論じられる作品は周知の名作で、かつて読んだ人も多いだろう。しかし、ここに著者の導きによって、新たな視点を与えられると、作品のみならず、自分の生きている「現実」さえ異なって見えてくる。まさに「ファンタジーは自他のもつ世界を新しくひろげてくれる」のである。