宝塚一期生のスターだった母。あんなにプライドが高く、かくしゃくとしていたのに、寝たきりになったとたん、「わがままな老婆」に成り果ててしまった。際限なく続く夜の拷問、減り続けるお金、家事と仕事のやりくり。すべては一人娘の著者の肩にのしかかってきた。それでも九十六歳の母は「長くない」と思っていたのだが…。先の見えないトンネルの中で過ごした六年の記録。