後にはクリスタル公としてパロ宮廷にその人ありとうたわれ、パロ・モンゴール戦役のおりには救国の英雄として名を馳せたアルド・ナリス。しかし、彼がクリスタル公となるにいたる経緯は、けして平穏なものではなかった。複雑な宮廷事情のために、幼い頃から両親に養育される幸せをしらず、異母弟のアル・ディーンとともにルナン候の庇護のもと、冷遇に耐える日々。そして、ついにクリスタル公となったナリスを待ちうけていたのは、彼の前半生最大の悲劇だったのだ。若きアルド・ナリス、アル・ディーン兄弟ふたりの波乱に満ちた日々を描く。