人間はそれぞれの歴史的環境に応じて、時代に見合った食の文化を生み出してきた。わが国も例外ではなく、生活に余裕がみられるようになった江戸時代には、室町時代を通じて独自の発展を遂げてきた日本料理が、徐々に庶民生活のレベルまで根を下ろし、独特の料理文化が花関いた。本書は、幅広い展開をみせた江戸の料理文化の在り方を、300年それぞれの時代相を写す多くの料理書を中核にすえて、社会状況との関連の中で考察する。