黒龍戦役もおわり、ようやく平和が訪れたかに見える中原。だが、その背後で暗躍するものの影は、今もそこかしこに蠢く。パロのクリスタル・パレスでは、少年王レムスとアルド・ナリスとの軋轢が緊張の度を増してゆき、またかつての陽気な傭兵イシュトヴァーンは、王たらんとする野望へと歩を進める。そして、ここユラニア領では、ケイロニアの軍籍をぬけた精鋭一万騎が、グインの指揮の下、向かうところ敵なしの進撃を続ける。そして遂にアルセイスを臨む丘に達したとき、思いがけぬユラニア進攻の目的がグインによって語られるのだった。