朝鮮外交を担当する対馬藩にあって、儒学・漢文に精通し、朝鮮語を自由に話し、中国語会話までこなす南森芳洲に、来日した朝鮮通信使は驚き、称讃の言葉をのこしている。隣りの国と交わるにはまず言葉を知ることが大切だと主張し、言語理論から発して、あらゆる民族・文化の平等を説く芳洲。日本文化の優越を説く国学の台頭と共に忘れさられたこの近代的思想家を現代に蘇らせ、同じ木下順庵門下の白石らとの交遊の中で活写する。