第三世界にしばしばみられる民政と軍政の変遷、クーデターによる軍部独裁を西欧の政治基準で評価して事足りるのか。開発途上国の政治分析には実情に即した柔軟な判断が必要なのではないか。かねてこのような疑問を抱いていた著者は、タイ在勤期間中に見聞した民主政、クーデターによる軍政、民政復帰の実情から、民主主義の意味、政治におけるチェック・アンド・バランス等を考察する。現実観察から生れたもうひとつの政治学。