「画像、彫刻家、建築家、哲学者、音楽家で、まさに天使の生まれ変わり」と称されたレオナルドは寡作で、現存する彼り作品は少ない。なかでも彼が求めた「理想都市」に関わる建築の完成品は一つもない。しかし、レオナルドが、非常な熱意をもって都市造りと建築物を模索したことは、その手稿に描かれた素描で知ることができる。若くして認められ、一五世紀末の政情混迷に巻き込まれて終わる万能天才の、建築家としての軌跡を探る。