秘境にわずかに残る民族としてかつて話題をよんだ裸族は、被服文化の波の中で今や消滅寸前にある。アフリカのトーゴで裸族に遭遇して強い衝撃を受けた著者は、彼らこそアフリカ文化の本源を解き明かる鍵であると、フィールド調査をくり返し、体につけられた瘢痕文身や装身具に興味深い意味を見出した。さらに彼ら裸族の「自然裸体」の観念の考察を通して、脱ぐことによって裸になる「脱衣裸体」の西欧的文化の再検討を試みる。