庭のある、郊外のこぎれいな家に住み、夫は毎日電車で通勤、妻は家事をしながら夫の帰りを待つ。週末は庭いじりかドライブ…。「典型的なイギリス紳士の家庭」だと思われている彼らこそ、本書の主人公「ロウアー・ミドル・クラス」の人びとである。彼らは、ヴィクトリア時代に社会に根を下ろし、揶揄や嘲笑を浴びながら、近現代のイギリス文化を逆説的に支えてきた。その百年あまりの生態をエピソード豊かに綴る。