一篇の神話や伝説にはもちろんのこと、一首のうた、一つの言葉にも豊饒な物語があふれている。そこから伝わってくるものは、古今東西どこで生をうけていても不思議なほど似通った、人びとの喜びや悲しみ、想い、悩み。万葉集からギリシャ神話、ケルト神話まで自在に題材をとり、日本と世界、古代と現代をひとしく眺めるエッセイ八三篇。著者の目を通せば、数千年の隔たりも遠く離れた土地も、往き来は自在と気づかされる。