「一角獣の話」「すり替えられた手紙」などヨーロッパ中世の説話を取りあげ、わが『今昔物語』をはじめとする説話集や漢訳仏典との類似を指摘し、その発生と伝播の経路を考察する。説話の世界の意外な国際性を解き明かし、文献資料の表面に浮び上がらない往古以来の壮大な文化交流の跡をたどるユニークな比較文学の書。