酸性降下物が密かに地球を蝕んでいる。工場や自動車等から大気中に排出された窒素酸化物や硫黄酸化物は、驚くほど長距離を移動して、酸性の雨や霧、塵となり、森林や湖沼を破壊しつつある。今や、深刻な国際問題となっている汚染の因果関係や実像は、どこまで解明されているか。被害が著しい欧米でのデータ、文献を総合的に分析することで、断片的に伝えられてきた酸性化現象の危機を捉え直し、警鐘を鳴らす。