春秋末期、爛熟した果実のごとき晋は、趙・魏・韓に分裂する。彼らに滅ぼされた知氏の恩義に、どこまでも報いようとする壮士がいた。「士は己を知る者のために死す」刺客・予譲は、ただそれだけのために趙襄子を付け狙ったのだろうか?思想集団・冥家をめぐる謎と、孔子が衛国にかかわる因縁を織り交ぜて活写する、大歴史ロマン。