日本の社会経済システムの特質は、状況に対する優れた適応能力にある。戦後五十年、その能力をフルに活用して、労働と産業と社会を重視するシステムを作り上げてきた。けれども、いま直面しているのは、カネと情報が瞬時に国境を超えて移動する制御不能な事態である。日本はそれに対して、アメリカ型の社会経済構造に転換しようとしているが、その「資本主義革命」の行き着く先は、社会経済そのものの「持続可能性」の破壊でしかない。日本型システムの「改革」をめぐる混乱に終止符を打ち、再生への道筋を示す。