1991年初めから顕著となり、ますます深刻度を増す不況をどう捉えるか。冷戦後の激変する世界にあって成長を旨とする20世紀型工業文明は価値観の転換を迫られ、日本にあっても、かつてその成長の鍵とされた日本型制度・慣行はいまや世界の批判の的となっている。この不況を契機に、日本は公正・共生を目指す成熟化社会へ移行できるであろうか。構造改革と不況対策の兼ね合いのなかで、選択すべき政治の思想が問われている。