戦乱騒擾の終焉とともに泰平の世を迎えた江戸時代、武士社会には新しい秩序と作法の整備を求める改革の波が押し寄せた。ことに、なにかと幕府の干渉を受ける江戸藩邸では、いらぬ争いや摩擦を避けるために、遅刻・欠勤の規約、水撒きの作法など、瑣末なまでの約束事が定められた。しかし、時代は変わっても武士は武士、体面もあれば意地もある。場所を戦場から江戸の街角に移して起こる悲喜劇に、変革期に揺れ動く武士の姿をみる。