現実にあった、『冷血』を上回る残虐な連続殺人事件と刑事の絶望的な戦いを描く中篇「手彫りの柩」。表題作「カメレオンのための音楽」など、悪魔と神、現実と神秘のあわいに生きる人間を簡潔にして絶妙の筆致で描く珠玉の短篇群。マリリン・モンローについての最高のスケッチといわれる「うつくしい子供」など人の不思議さを追及した会話によるポートレート集。三部からなる、巨匠カポーティ、最後の傑作を野坂昭如の翻訳で贈る。