第2次世界大戦の前夜、ナチスの迫害を逃れてチエコスロヴァキアからハンガリーのブダペストへ移り住んだユダヤ人女ベティは、リッチーと出会った。惹かれあい、恋におちた2人は、ドナウ川に沈む夕日を見つめがら永遠の愛を誓う。すべてをかけた愛の始まりだった。だが、その平和もつかの間、ハンガリーもまたドイツ軍に占領されてしまう。周囲のユダヤ人が無慈悲に命を奪われるなか、2人は生き別れになってしまう。そんな彼女を、さらなる悪夢が待ち受けていた。厳冬のウィーン街道を歩き続けた死の行進、親友たちの無残な死、そして強制収容所。飢えと病に苛まれながらも、最愛の恋人リッチーともう1度逢うことだけを心の支えに、ベティは恐怖と絶望の日々を生き抜こうとするが…。戦争の残した傷あとに苦しみ続けた著者が、自らの過去を振り返り、その過酷な体験をありのままにつづった感動の自伝。