妹が死んだ。弟が暴れん坊になった。母が鬱になった。父は何もできなかった。そしてぼくの頭の中に広島で被曝した日本人の男が住み着いた。人が焼け、建物が焼け、破壊された風景が目にみえる。ぼくに…何ができるだろう?戦争のもたらした災厄を目の当たりにし、多くの試練が振りかかるなか、少年ヘンリーは大人になってゆく。そしてヘンリーの身に起こったのは…。純粋に生きること。その意味を描き出した文芸大作。