本書では、なにかを夢み、大航海を企画し、それを実行したコロンブスが、自己のアイデンティティを求める一種の探求者として描かれている。過去と現在、現実と超自然的世界のインターフェースを、複雑に、そして巧みに組み合わせたプロットが織りなされ、有名な、謎めいたコロンブスの自署の解釈がそれにからめられて、読者の興味を引きずってゆく。永遠の航海者コロンブスが饒舌に語るわが夢、わが大洋。