噺家だった遊動亭円木は盲いて高座をおり妹夫婦の居候になっている。マンションには牡丹がたくさん植えてあり、その名もボタン・コートという。近所の金魚養殖池のおやじや、かつてのひいき筋のだんな、ボタン・コートの中国人や、むかしの女など、さまざまな仲間に囲まれて、時に楽しく、時に哀切な円木の日々が過ぎてゆく。あるとき金魚池にはまったところ、溺れ死んだと間違えられて、生きている円木に弔問客がやってきた。