「平家物語」に登場する英雄美女も川柳世界では讃仰される一方ではなく、少しでも欠点弱みがあれば得意のうがちやもじりでさんざんにからかわれる。それ故に清盛も知盛も義仲も義経も、生身の人間という親しみをもって現代に甦る。あまり魅力のない重盛や頼朝も然り、悪役梶原景時でさえ、ときには愛敬者に映る川柳は、人情の機微をついている。