書かれた文字から、書き手の人柄や書いた時の状態まで連想してしまう-そんな経験は誰もがあるだろう。機械による字とは異なり、手で書かれた文字は、単なる意味以上の何かを伝えてしまうのだ。しかし、本当に筆跡は人間性を表わすのか、書き手の時代やお国ぶりまで判るのか、筆跡は偽装できるのか、手筋は遺伝するのか、きれいな字を書くには、等々、「書く」ことをめぐる根本的な問いに、自由な考察を加え、「筆跡学」なる新しい学問を提唱する。