「昆虫園」を開設し、市民に向けた解説やNHKラジオの「子供科学電話相談」などに力を尽してきた元多摩動物公園園長の著者は、一方で、里山の昆虫の野外観察を50年以上積み重ねてきた。本書はそのフィールドワークの成果の中から、とっておきのエピソードを集めたものである。アリの巣で育てられる蝶、泥棒をする蜂、トンボの交尾の意外な仕掛け、タガメの子殺しなど、ここに紹介されている不思議な生態からは、昆虫たちの驚くべき"生きる知恵"がうかがえる。