明日という日に仄ない期待を抱いて、誰もが今日という日を送りすごす。明日吹く風は吉か凶か-。さりげない会話の妙、簡潔でふかい叙述。人生半ば、さまざまの曲折をへた男と女たちの、ちいさな生の断片、歓喜・悲哀を、細部へゆきわたる静かな視線で捉え、この作家ならではの、独特の色調で仕上げた名品十七篇。