人気絶大の鬼平犯科帳シリーズ全24巻を、さらに大きな文字とふりがなを増やした【決定版】で順次刊行中。
「忠吾。今朝は、ばかに愛想がよいのだな」
「いえ、あの……うれしいので……」
「さほどに、お前に新妻はよい女か?」
「いえ、その……」
「毎夜、可愛がっておるか、どうじゃ?」
「は……可愛がっております」
「どのように可愛がる?」
「あの、先ず、口を吸ってやりまして……」
第16巻では、新婚の同心・木村忠吾への平蔵の可愛がりも舌好調。
一方、独り身の火盗改メ同心・小柳安五郎は、平蔵の指示で、上野の出合茶屋で女賊と乱行する同僚の同心・黒沢の監視を続けていた。
盗賊のみならず、部下たちのそれぞれの思惑に、平蔵は如何なる決断を下すのか。
「影法師」「網虫のお吉」「白根の万左衛門」「火つけ船頭」「見張りの糸」「霜夜」の全6篇を収録。