佐藤愛子九十歳・奇跡の話題作、待望の文庫化!(文庫化にあたり、単行本を上下2分冊とした)「究極の悲劇は喜劇だよ」辰彦はそういった。それにしても、どうして普通じゃ滅多にないことばかり起るのか。「愛? 冗談じゃない!」と思いつつ、杉は辰彦の借金を抱え、がむしゃらに働き、必死に生きた。当時の文学仲間たちはもう誰もいない。いま改めて問う、あの歳月はいったい何だったのか? 辰彦は何者だったのか?枯淡の境地で、杉が得た答えとは。畢生の名作、誕生。