春から夏に遡上を続けたアユは秋に河口へと下り、たった一年の生を終える。その還り路に見る風景を、たぶん私も見始めている…。他者の死を見つめる医師であり、作家でもある著者が、人生の還り路を辿りながら自らの臆病な眼に映る日常の細部の意外な輝きを綴ったエッセイ、掌篇小説、書評集。