ぼくはX出版社の書下しのために、ホテル・ニューオータニにカンヅメになった。16階にある囲碁サロンで広島の間宮老人と知り合い夕食をともにしたが、深夜、電話のベルで叩き起こされた。受話器の向うから「鞆の浦へ行きな…」と訴えるような男の声…。翌日、刑事がぼくの部屋へ訪ねて来て間宮老人が行方不明だが知らないかと疑惑の目をむけられた。憶病なぼくは浅見光彦に応援を頼んだ。そして、広島県福山市鞆町の丸山清作(75)が死んだ云々という新聞記事が出て2人は殺人事件の渦中にまきこまれてゆく…。