工学分野では従来、台帳の整備、点検、診断、補修・補強といったサイクルで維持管理を行うとともに、それぞれの要素技術の開発が進められてきたが、近年、道路、河川、下水道施設等の社会基盤施設を資産、すなわち、アセットとみなし、効率的かつ効果的なインフラ資産の運用及び維持管理を行うためのアセットマネジメントの考え方が導入されてきた。アセットマネジメントは、元々は、リスクや収益性等を考慮して金融資産を適切に運用し、その価値を最大化するための活動である。この考え方をインフラ資産のマネジメントに当てはめ、インフラ資産を対象としたアセットマネジメントの概念が提唱されてきている。 また、我が国の多くのインフラ資産は高度経済成長期に集中的に整備されたこともあり、今後、老朽化が急速に進行し、補修や更新の増加が見込まれる。一方、我が国では本格的な高齢化社会を迎えるとともに、依然として経済情勢は厳しいままである。したがって、予算の制約のもと、いかに効率的かつ効果的にインフラ資産を運用、維持管理していくかはまさに喫緊の課題となっている。(本書より)