芭蕉は歌枕の地をたどりつつ旅をしている。古代から日本に歌枕という空間が全国に拡がっていた。その場特有の景色があり、しかも永々と詠まれてきた歌を持っていた。日本の空間である。『奥の細道』を場所性、空間性に視点をあて読むことで、全くあたらしい芭蕉論、『奥の細道』論を企てた。それは旅空間、『奥の細道』空間の発見である。