「おじさんなら話を聞いてもらえると思ったんだ」10年ぶりに帰った土地で自殺予告をする少年が投げてきた一言-殺人犯が獄中で過ごした年月は土地をも人の心をも荒廃させていた。悪意渦巻く故郷で彼はどう生きるべきだったのだろうか?高度経済成長からバブル崩壊に至る時代の流れとともに土地と人間の荒廃を描いてきた『遠雷』('80年)『春雷』('83年)『性的黙示録』('85年)に続く著者渾身の作品。